垂渓庵です。
ふるほん文庫やさん、という文庫本専門の古本屋さんがあった。社長の谷口という人が、『ふるほん文庫やさんの奇跡』という本を出していたように思う。
文庫本に特化した古本屋さんで、一時期話題になったのではなかったか。入手の困難度に応じて三段階か四段階ぐらいの値段設定をしていたように思う。
わたしは、古本の検索サイトであるスーパー源氏 が運用を始めた初期の頃に、そこ経由で存在を知ったように思う。いや、ふるほん文庫やさんについては、谷口さんの本を紹介する新聞記事か何かで知ったのだったか。よく覚えていない。
ともかく、わたしがその存在を知った当時は、けっこう世の中の注目を集めていたように思う。amazonその他のサイトもそれほど大きくない頃ではなかったか。。
本拠を九州の小倉かどこかに構え、全国に賛助会員みたいなのを募り、各地の古本屋さんかの棚からめぼしい文庫を抜いてもらい、それを集約して売るってことをやっていたように思う。
わたしは、角川文庫の「宇津保物語」がないかと思い、連絡を取ったことがある。もちろん、なかった。
記憶が定かではないのだけれど、わたしはその本拠に立ち寄ったことがある。九州の久住山への山行帰りのことだ。
小倉(?)の駅からはバスに乗ったように思う。どのバス停だったかは覚えていないけれど、しばらくバスに揺られて、バス停前に店舗はあったと記憶している。
仮店舗と言った趣の店内に文庫本が所狭しと並べられていた。店内を見ることしばし、古典関係や講談社学術文庫、岩波文庫関係はそんなに充実していない印象だった。
ただ、講談社文庫版のパンセがあったのには、びっくりした。即購入を決定。二冊で2500円ほどだったか。あと、宮城道雄の春の海その他何冊かを購入した。
二、三日前に久々にふるほん文庫やさんの存在を思い出し、検索をかけてみたところ、去年閉店し、谷口社長の行方も分からないということを知った。なんか、文庫本だけの図書館を作るとか、意気盛んだったように思うだけに、意外だ。
ネットを活用しようとしたところは、目の付け所がよかったのだろうけれど、その後のネットの急速な発達で、思うに任せない状態が続いたのではなかろうか。今やへたすりゃ文庫本の古本は、amazonで1円で変えてしまう。大規模古書店もあるし、ネットに力を入れる古本屋さんもたくさんある。
まさに往事茫々だ。
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