垂渓庵です。
現代川柳を概観する上でよい本が出版された。『近・現代川柳アンソロジー』(桒原道夫、堺利彦編 新葉館出版刊)だ。
『川柳カード』みたいな先鋭的な雑誌にもきちんと目配りをした選がなされていて、現代俳句の尖ったところともいい勝負ができるような作品が集まっている。すげえ。
後書きにもあるとおり句本意の選句がなされているようで、さもありなんという人が選ばれているなあと思える一方で、あれ、この人入ってないのというようなことも起こってくる。おれにとって意外だったのは大西泰世さんが入っていないことだ。そんな目で見るのもこのアンソロジーの楽しみ方の一つと言っていいだろう。この一冊が触媒となっていろいろな人にいろいろな思いを抱かせるということになっていくのではないか。
おれとしてはこのアンソロジーがきっかけとなって世の中に川柳のアンソロジーのブームが起きるといいなと思う。それはともかく、少なくともこれが近・現代川柳の見取り図であり、一つの到達点を示していることは確かだろう。我々はここから進まなければならないのである。と思わず力こぶの入った書き方になってしまった。