垂渓庵です。
去年、現代の祝詞を紹介する企画を立ち上げた。この記事だ。でも、その後頓挫した。本欄にはよくあることだ。が、一回も本題に入らなかったことはない。このままではあんまりなので、とりあえず、予告だけしていた「図書館開館祝詞」を紹介してみよう。
原文は宣命体で書かれているが、入力がとても面倒だ。というわけで、『神道大祓全集と解説』の著者である阪井正卿自身の記した「読方」に拠る形で引用してみたい。適宜漢字を仮名に直した。また旧字は現行の字体に改め、一部残したフリガナは、カッコに入れる形で示した。
この館の事を守り給ふ神の御前に申さく、事は書きて伝ふるばかり尊きはなく、人は今その書に依りて神の教へ、聖人の道、秀でたる帝王等の事跡、優れたる臣等の功、その国々に伝はる国史、宇(よ)を御し国を経(をさ)むる政事の法令、賢き人の論(あげつら)ひ、物知れる者の考へ、或はその形を図引き、或はその状を絵画(えがき)し物より、大き小き学びの校(や)に用ゐる教科書日毎に刷り出る雑多の刷物に至るまでで、皆世の人の見て識(さと)りを広め、身の才を研く本ならざるは無きも、内外の書巻の数は幾千万と数知れぬ事なれば、此を人毎に購ひ得て見むは、手易からぬ事なるが上に、古にし物は失せもし欠けも行きて、今は全く失せ果てしも少なからぬを、広く集め普く求めて、万代に保ち行くとともに、顕世(うつしよ)の人に借(かし)もし読せもすと、この図書の館を建て、ここに事始めの式を挙ぐるを以て、捧げ物を奠りて言祝ぎ奉る状を、平らけく安らく聞食て、その栄の繁らむ事は、納め置く書の数よりも繁く、その聞えの高らむ事は、聳え立つ館の棟よりも高く、遠く悠(ひさし)く立ち栄えしめ給へと、恐み恐み白す。
わかりにくいところは、次回解説したいと思う。
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