2013年7月24日水曜日

旧暦6/17 論説系の楽しみ

垂渓庵です。

ここんとこ、kindleでの雑多の拾い読みを続けていた。あまり紙の本を読んでいなかったのだ。

で、今は珍しく紙の本を読んでいる。野口武彦さんの「江戸は燃えているか」だ。幕末を生きた七人の伝記と言えばいいのか、人物研究と言えばいいのか、というような本だ。

kindleを離れてこういうのを読んで気づいたことがある。

kindleの無料本に論説系の文章はあまりない。例外的に和辻哲郎や柳田国男、西田幾多郎などの文章などもないわけではないが、やはり論説系は手薄だ。有料の本はどうなんだろう。有料の電子書籍を買うなら紙の本を買いたい私は、そこらへんの事情についてはよくわからない。

もちろん、それぞれの作家の無料本には、けっこう論説めいたものも含まれているけれど、かなり本格的なものからスケッチ的なものまで、まことに雑多。じっさいにその作品を開いてみないと、読み応えなどはわからない。しかも、一編一編がばらばらに存在していて、どうしても脈絡のない読書になりがちだ。

ま、このあたりは、その作家についてある程度詳しければ避けられることなのかもしれないけれど、わたしは明治以降の作家についてあまり詳しくない。というわけで、鴎外のハードボイルドな出だしの小説に感心したり、芥川のルサンチマンに別な意味で感心したり、あちこちと気ままな読書を楽しんでいた。

それはそれで悪くないのだけれど、やはりもう少し骨のある論説系の文章を少しまとめて読んでみたい。というわけで、「江戸は燃えているか」を読み出した次第だ。

これを読んでみて思うことは、やはり論説系のまとまった塊を相手にするのは、難儀だけれどもおもしろい、ということに尽きる。論説系の文章を面倒くさがらなくてすむ自分の読書傾向をつくづくよかったなと思う。ええと、西田幾多郎は面倒くさいです。和辻の文章もそれほど魅力的だとは思えない。

が、とにかく論説系に注目してみると、kindleは──というか、おそらく電子書籍全般は──まだまだ発展途上なのだと思う。あくまでも無料本の範囲内だけれど。

あの断片の集積が、何らかの秩序立てられた塊になるとき、電子書籍はよりいっそう魅力的なものになる気がする。ま、あくまでもわたしのようなニーズの持ち主に限定しての話だけれど。

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