2013年8月28日水曜日

旧暦7/22 ファンタジー営業部

垂渓庵です。

大規模書店に行く時間がなかなかとれないこともあり、普段通勤で読む本は、最寄り駅近くの古本屋さんや地元密着型の中規模書店で済ませることが多い。もちろん、大規模書店にちょっと寄り道するぐらいの時間ならそこそこあるのだけれど、書棚巡りを満喫できるほどの時間はなかなかとれないのである。



古本屋さんにどんな本があるかは神のみぞ知るだけれど、最寄り駅近くの中規模書店の書棚には、各ジャンルの新刊本がそこそこ並んでいる。海外ものもそれなりに揃っているのがうれしい。文庫や新書の新刊ならかなりのマイナーどころでも見つかることが多い。

もちろん、ジュ○ク堂などのようにえらいことでかいわけではないので、書棚巡りにもそれほど時間をとられない。

そんな書棚巡りをしていた時のこと、文庫本の棚でけったいな本を見つけた。著者名が「前田建設工業株式会社」。書名が「前田建設ファンタジー営業部」1および2の二冊だ。

「前田建設株式会社」。斬新すぎるペンネームだと思ったけれど、表紙裏を見てみると、どうも違うようだ。ほんとの準大手ゼネコンらしい。おまけに表紙にはマジンガーZやスリーナインっぽい空飛ぶ蒸気機関車と二等身のかわいらし人形とがあしらわれている。

なんじゃこりゃ、と思ってパラパラと中身を見てみると、マジンガーZの格納庫やスリーナインの空に向かって延びているレールなどを実際に作るとしたら、現在の技術でどれぐらいの費用がかかるか、どのような問題点があり、それをどうクリアできるかを、あくまでもまじめに追究している本のようだ。

これは買いでしょう、と思って即購入し、早速読んでみた。結論から言うと、とても面白い。語り口が軽妙なのもあって、すぐに読めた。

マジンガーの格納庫やスリーナインの空に向かって延びる発射台に必要な費用や工期を具体的に示した見積書作成に向けてのすったもんだが、あくまでもおもしろおかしく述べられていて、とても楽しそうだ。

とは言っても、いくら非現実的な内容であっても、あくまでも企業内で業務として行われている活動だ。当然、ラフな設計や見積もりをするにしても、各部署に正式業務として問い合わせや設計の発注を行っており、実際の建設会社内部の仕組みなどもなんとなく分かる形になっていて、とても興味深い。

これを読んでいると、前田建設で土木工事や建設工事に携わるのもいいんじゃないか、という気になってくる。1の前書きにある建設会社の業務の内実を世の人に知ってもらい、多くの人にアピールするという目的は、みごとに達成されていると言っていいだろう。達成されすぎていて、建設工事云々というところをすっとばして、ヲタクの方達がわらわらとすり寄っていくことになりはすまいかと、ちょっと心配だけれど。

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