垂渓庵です。
メビウスネタ、前回のジョージと郷秀樹の記事から少し間が空いてしまったが、ここまでくると、クゼ・テッペイ隊員とハヤタ、カザマ・マリナ隊員と北斗星司との結びつきについても、どのような流れでそうなったのか、知りたいところだろう。
残念ながら少し前までウルトラ大先輩にもわたしにも、それについての成案はなかったけれど、たまたまメビウスを見返していて、気づいたことがある。それを以下に書いてみたい。やっとオリジナルネタだな。
ウルトラマンメビウスの23話は「時の海鳴り」という作品だ。ざっくりと書くと、行方不明となった人々が、実は異次元に連れて行かれてしまっていた、という話だ。
ところで、興味深いことにウルトラマンAの23話「逆転! ゾフィただいま参上」では、「お前はお前を信じなさい」と歌いながら街を行く異相の老人が、子供たちを異次元に連れ去ってしまう。
というだけだと、マリナと北斗を結びつける根拠としては少し弱いのだけれど、実は子細に作品を見ていくと、面白いことが分かる。
メビウス「時の海鳴り」には、重要なゲストキャラとして、アンヘル星人のトーリが出てくる。彼は途中でマリナに自分が異星人だと打ち明ける。その結果、人々が消える怪現象の真相を告げた際、異星人であるが故にマリナに信じてもらえないシーンが出てくる。
ウルトラマンAの「逆転!~」では、北斗が海辺で怪老人を見たことを他の隊員に告げるも、そもそも北斗の告げる地点に海など存在していないとして、全く信じてもらえない。「時の海鳴り」には「海鳴り」のような音が出てくるが、その海辺のシーンを思い起こさせる。
さらに比較を続けてみよう。マリナはトーリとともに怪獣によって自分の子ども時代の時空に連れ去られる。そこで子供の頃のマリナは、祖父を失った悲しみをトーリに慰められる。「大切な人はキミを置いていったんじゃない。いつでもキミのそばにいる」と。
マリナはあまりの悲しみからか、祖父が亡くなった前後の記憶を失っている。がトーリの存在を潜在的に記憶しているからか、トーリに好意を抱くような感じになる。両者、いいムードになるものの、トーリは怪獣の攻撃からマリナを守ろうとして死んでしまう。マリナは大切な異星人であるトーリを失ったのである。
と言えば、ウルトラマンAの第28話で、月人である南夕子が月に帰ったエピソードが自然と思い起こされるだろう。そう、北斗星司もまた、大切な異星人である南夕子を失っているのである。
以上のような流れを踏まえて、メビウスの44話で、北斗星司は、子供のマリナを慰めたトーリのことばに通じる言葉で、夕子への思いを述べ、メビウスを励ます。「オレは一人っきりになった。だがオレは戦えた。離ればなれになっても彼女の意志がオレの中にいたからだ。俺たちは変わらず一緒に戦っていた」と。
そしてラスト。彼は南夕子と再会する。何と40年近くの時を経ての二人のそろい踏みだ。ああ、感激だ。二人は言葉を交わし、南夕子も北斗星司と同じ思いでいたことが明かされる。ああ、感涙だ。わたしは第二期ウルトラシリーズをそれほど高く評価していないけれど、それとこれとは話が別だ。ここまで見事に作り込まれていたら、涙の一つも流そうというものだ。
それはそれとして、実はマリナは、「時の海鳴り」のラストで「会えなくても大切な人はそばにいてくれる」と今は亡きトーリに語りかけていたのである。
これだけ重なってくると、仮に作品中でマリナとエースの明確な接点が描かれていなかったとしても、やはり両者の間には見えないつながりがあると考えてよいのではないだろうか。これはおそらくメビウスのシリーズ構成の段階で構想されていたことなのだろうと想像される。
ウルトラ大先輩のchikurinさんがどこかに書いておられたように、ウルトラマンメビウスは、ほんとに深読みができる作品だと思う。
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