垂渓庵です。
推薦入試で入学した生徒は就職率が低いという話がささやかれている。データ的に裏付けがあるのか、都市伝説なのか、何とも言えないところはあるけれど、なにがしかの真実が含まれているのではないかと思わなくもなくなくなくなくない。あれ。
もちろんわたしもデータをとったわけではない。しかし、推薦入試で大学入学が決まった後の生徒を見ていると、明らかに一般入試を勝ち抜こうとする生徒達と比べて、踏ん張りがきかなくなっている。 幸い、わたしの担任する学年は、推薦で決まった者たちも比較的良心的な日々を過ごしている。しかし、表情、挙措、その他諸々に甘さが感じられる。
進学先が早く決まるのが一概に悪いことだとはもちろん言えない。しかし、現在の推薦入試の状況を見るに、指定校推薦、AO入試、一般推薦を含めて考えると、かなり生徒の側の選択肢が広くなっている。どちらかというと売り手市場だ。中には棚からぼた餅式に進学を決める者もいる。
繰り返し言うが、それがただちに悪いというわけではない。大学側もよく考えていて、一昔前と比べるとスクーリングや課題の提示など、入学者の学習意欲を維持させる工夫をしている。もともとの志望校への進学を決めて勉学の意欲をそれなりに維持している者もいる。しかし、である。
やはり受験のプレッシャーにさらされている者ほどの切迫感はなかなか持ち得ない。わたしは今の受験制度が手放しでいいものだとは思わないが、うちの生徒のように六年間ある意味ぬくぬくときた者は、この程度のハードルを超える重圧にさらされる方がいいのではないかと思える。
推薦入学者にはどうしても甘さがついて回る。それは事実だ。そこからすると、推薦入学者の就職率が低いというのもさもありなんと思われる。恐らく彼らはここ一番の踏ん張りがきかないのではないかと思うのである。
推薦が決まった保護者は生徒と同じく一様に喜ぶ。しかし、実は、入学決定後をどう過ごさせるか、保護者には重い課題が突きつけられているとも言えるのである。残念ながら、そこらを十分に考えている家庭は皆無と言っていい。
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