2013年2月27日水曜日

旧暦1/18 ロドリゲス

垂渓庵です。

先日、岩波文庫の『日本語小文典』という本を読んだ。正確にはところどころ目を通した。著者はロドリゲスという天正期に来日し、活躍したイエズス会士だ。実務に長ける一方、語学的能力も高かったのだろう、『日本語大文典』と『小文典』とを著している。

今回は『小文典』の内容が主題ではない。


ロドリゲスは家康の信任を受け、貿易にも腕を振るうが、後に家康に追放され、マカオに赴く。で、結局その地で亡くなり、聖パウロ教会に葬られた。今では正面の壁だけが残っていて世界遺産にもなっているあの教会だ。

実は私は七年ほど前に同僚達とマカオを訪れたことがある。別にギャンブルをしに行ったわけではない。香港在住の同僚の知人に案内方を頼んだ際に、マカオも訪問場所に組み込んでくれていたのだ。カジノも少し見学したが、同地の新築マンションのモデルルームだの、地元の方々の行く市場や食堂だの、定番とは少し違う見学がメインだった。

もちろん、せっかく行くのだからということで、聖パウロ教会やその周辺へも案内していただいた。その時はロドリゲスが葬られたなどと知るはずもなく、ただただ正面の壁だけが存しているという非日常的な景色に強い印象を受けた。キリシタンとつながりもあると知ったのだが、周囲の小じゃれた町並みとうまくつながらなかったことを覚えている。

今回岩波文庫の『小文典』の解説を読んで、彼があの教会に葬られていることを知り、自分の中であの教会と当時の日本とがそれなりにつながる感じになった。キリシタンと関係があると言われてもピンとこなかったのに。不思議な話だ。やはりロドリゲスがポルトガル人だからか。

何にしても、当時マカオはカジノが最盛期を過ぎて、次の展開を模索しているやに聞いたように思うが、かの地は今どんなことになっているだろうか。

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