垂渓庵です。
ゆえあって最近kindleをいじっている。これまでかなり多くの本をダウンロードしたが、実は全部無料本だ。自分でお金を払って買ったものはビタ一冊ない。なかなか買いたいものが電子書籍にならないのだ。それはそれとして、そうやってダウンロードしたアイテム──kindleでは、作品をそんな風に呼ぶ──をとりあえずざっくりと分類し、職場への行き帰りに気ままに読んでいる。
これまでは電子書籍など敬して遠ざけていたけれど、こうやってその恩恵に浴してみると、なかなか侮れないものがある。
実はkindleの無料本というのは、青空文庫のデータを引っ張ってきたものだ。青空文庫は、著作権の切れた作家の文章をボランティアの方達が入力、校正して公開しているサイトで、これまで一万タイトル以上の作品を公開しているらしい。
この場合のタイトルというのは、作品一篇ずつを数える単位で、長編も短篇も同じく一タイトルとなる。タイトル=書名とは限らない。というわけで、いわゆる本の形にしたら1000冊分ぐらいの分量の作品データがあるというところだろうか。
今回kindleを使うにあたって、青空文庫の作品群を一渡りながめてみたところ、どうやらいわゆる文学史的名作以外に、推理小説、時代小説、童話のあたりがけっこう充実しているということが分かった。逆に古典、外国文学、思想哲学は弱い。当然kindleの無料本のラインナップにも影響するところだが、あんまり需要もないことだろうし、いたしかたあるまい。
が、ともかく時代小説、推理小説などなど、これまで触れたことのなかったものが気軽にダウンロードできるのは、とてもすばらしいことだ。ネットの記事を追っていると、校訂に不安や不満を抱く人もいるようだが、それは無いものねだりというものではなかろうか。もしも厳密に校訂した本文を引用したければ、原典にあたればいいのだ。青空文庫で自由に本文を変改しているのなら問題だけれど、古典の写本じゃあるまいし、そんなことは起こりえないだろう。ボランティアベースとしてはよくやっているのではないか。普段使いならこれで十分と言える。
というわけで、わたしは今、半七捕物帳、旗本退屈男、安吾捕り物帳、顎十郎捕物帳、右門捕物帳などなどに軽くはまっている。けっこう面白いものだ。これらを一通り読んだら、次は大菩薩峠を読もうかと思っている。
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