2014年3月31日月曜日

旧暦3/1 シュールな光景

垂渓庵です。

わたしは電車で通勤している。普段は梅田で地下鉄御堂筋線に乗り換える。

二年ほど前だったか、よんどころない事情で遅刻せねばならなかったことがあった。よりによってちょうどその日、地下鉄御堂筋線の梅田駅でぼや騒ぎがあった。覚えておいでの方もいることだろう。

間の悪いこと、この上ない。回り道をせねばならず、とても閉口した。おまけに携帯の充電も忘れていたので、職場に連絡するのも一苦労だった。ホームの倉庫で誰やらが隠れて吸っていたタバコの火の不始末が原因だったらしい。いい加減にしてくれという感じだ。

おかげで他の線を利用し、さらに他社路線にも乗り継がねばならず、普段よりも大幅に時間がかかってしまった。

よんどころない事情には続きがあって、早退もせねばならなかったため、わたしが職場にいたのは、2時間弱ぐらいだったのではないか。まさにとんぼ返りだ。

ひょっとしてまだ御堂筋線が止まっているんじゃなかろうかと、ちょっと危ぶみながら職場の最寄り駅で確認をしてみると、さすがに運転を再開していた。が、驚いたことに、梅田駅は電車が通過しているらしい。

なんと、鈍行列車ばかりと言っていい地下鉄で、こともあろうに一番乗降客の多い駅を電車がスルーするという訳の分からない状況になっているらしい。誰だ、タバコの火の不始末をしでかした馬鹿たれはと軽く憤りながらも、帰りの経路も行きと同じ方がいいのかなと軽く溜息をついた。

が、よく考えてみると、そのまま梅田駅をスイングバイして新大阪まで行き、JRに乗り換えることもできる。ちょっと遠回りになるのだけれど、その方が面倒臭くないし、時間もかからないんじゃないか。そう気付いたわたしは、勇んで御堂筋線に乗り込んだ。

電車は進む。そしてとうとう淀屋橋駅を発車した。次は梅田駅だ。駅に到着する前からわたしは窓の外を食い入るように見つめていた。程なく梅田駅。列車は速度を落とすことなく通過していく。地下鉄での通学・通勤を初めて三十年近く。初めての駅通過だ。しかも表玄関の梅田駅。

照明は消えているのかなと思ったけれど、全部煌々とついていたように思う。ホームには人っ子一人いない。非日常的というか何というか、どうも異様な光景だ。照明の光もいつもより冷たいような気がした。

と、消防や警察の方達と思しき人たちが、ある階段の下あたりにわらわらっと集まっている姿が目に入ってきた。どうやら火元らしい。タバコの火の後始末もできない残念な人のせいで大騒ぎだな。転瞬。窓外はいつものトンネルの壁となった。

などと気楽なことを書いているが、おかげでこの日の予定は全て狂ってしまったはずだ。人が死ななかったことだし、梅田駅を通過することもできたし、それでよしとするか、と思わないでもなかったけれど、タバコの不始末をやらかした御仁には、ロスした時間を返してほしい気がしないでもない。

0 件のコメント:

コメントを投稿