垂渓庵です。
特になんということもない場面がなぜだかわからないけれどいつまでも記憶に残っていることがある。ほんとうに何でもないシーンで、なぜ覚えているのか分からない。
もううん十年も前、高校生の頃のこと。わたしは電車通学をしていた。その帰り、夕方から夜にかけてのことだったと思う。最寄り駅の一つ手前の駅で電車が停まった。ごく普通に乗り降りの人があったはずだ。わたしは窓の外のスーパーマーケットの出入り口を見ていた。そこにはちょうどスーパーを出ようとしている人が一人いた。スーパーの照明が逆光のようになってその人影はシルエットのようになっていた。それだけだ。そこから何が起こったわけでも、その情景に特別な感懐を抱いたわけでもない。けれどもその情景がただただ頭に残って離れない。
記憶に残るにはそれだけの理由があると思うのだけれど。記憶とは時にこういういたずらをするものなのだろうか。
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