2021年10月22日金曜日

旧暦9/17 謡曲百番

垂渓庵です。

大正から昭和初年ごろにかけて刊行されていた「日本古典全集」という古典の古いシリーズがある。その一つが「謡曲百番」だ。版によって異なるけれど、4冊ないしは2冊にまとめられている。 

今どきの人の中で謡曲に親しむ人はそんなにいないんじゃないかと思うけれど、古典文学の全集などには必ず謡曲が収められている。ただでさえ我々に縁遠くなっている日本の古典の中でもさらにマイナーな謡曲である。その文学史的意義が我々にも分かるように微に入り細を穿つ注や口語訳が付けられるのが常だ。しかし、である。「日本古典全集」はそんなことはしない。擬光悦本とも言われる古活字の版本をそのまんま縮小して収めているのだ。昭和初年という刊行時期のせいもあるのだろうが、硬派というか何というか、男前なことだと思う。

日本古典全集には他にも「本草和名」や「教訓抄」など、もとの本がまんま収められている。あの頃の人は全員じゃないにしても、これ、読めたんだろうなあ。

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