垂渓庵です。
たぶんあまり一般受けしていない作家にボルヘスという人がいる。いや、いた。アルゼンチン出身の作家だ。フェルディナンド・ホルヘ・ルイス・ボルヘスが正式な名前だったか。あるいは、もっと長かったかもしれない。理知的で幻想的という変わったスタイルの小説を書く人だった。詩人でもあるけれど、スペイン語を解せないわたしには、翻訳で読む彼の詩は正直きついものがある。詩の翻訳は難しい。
そのボルヘスに、『ボルヘスとわたし』という自選短編集がある。かつて新潮社から出版されていて、今はちくま文庫に入っている。確かわたしがいちばん最初に読んだボルヘスの本だったと思う。
と、ここまで書いて驚いた。たった今amazonでちゃちゃっと確認したところ、新潮社のものはともかく──かれこれ40年近く前に出版されている──、2003年に出たちくま文庫のものも品切れらしい。
念のためにボルヘスの本自体を検索してざっと見てみると、品切れになっているものがずいぶん多い。この調子でいくと、彼は幻の作家ってことになってしまうのではないか。幻想作家が幻の作家か……。
下らない冗談みたいになってしまった。それはそれとして、最近とみに本の出版サイクルが短くなっている気がする。出版社的には、売れ残りの本はデッドストックってことになるのだろう。在庫を早くはかしてしまいたいのだろうな。出版された時に買っておかないと、油断すると刊行からあまり日が経っていないのに気づけば品切れになっていましたってこともなくはない。
妙な方向に話がそれた。ボルヘスについては、あさって仕切り直ししよう。
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