2012年9月21日金曜日

旧暦8/6 盲者の傲慢

垂渓庵です。

まだ時間がとれない。というわけで、ボルヘスについては、も少し後ね。

今日は、こないだ見かけたすこぶる不愉快な盲者について書いてみたいと思う。

諸々の仕事に追いまくられていい加減疲れた帰路、電車の乗換駅に着いた時のことだ。ホームへ降りる階段に着くと、列車から吐き出された大量の人がわらわらと階段を上がってくるのが見えた。

前には盲者と覚しき白い杖を突いた男と、それに付き添う形の女が一緒にいた。盲者の男は、ホームを人が上がって来るのを感じたのだろう、さも面白そうに、「階段の真ん中を歩いて降りたったらええねん」というようなことを言っていた。

連れの女は「そんなこと言わんとき」と言っていたが、男は「いや、真ん中を降りたらいいんやで」としつこく繰り返す。人々が目の不自由な自分をよけるだろうと見越して、階段の真ん中を降りて人の流れに混乱を生み出そうという魂胆らしい。上から蹴落としてやろうかと思ったけれど、どう考えても弱い者いじめになるので、黙って横を通り過ぎた。今にして思えば、「蹴り落としてやろうか」ぐらい言えばよかったと後悔している。

わたしは、障害者は小さく縮こまっていたらいいなんて思わない。どんどん広い世界へ出ていけばいいと思う。が、彼のような障害を持っていたら、社会あるいは他人の扶助なしには
とても生きていくのが難しくなる、という自覚ぐらいはあってもいい。彼のこれまでの人生経験が彼をそんな情けない人間に仕立てたのか、もともとねじくれた下衆な奴なのか知らないけれど、とても残念な人だと言えるだろう。

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