2012年8月29日水曜日

旧暦7/12 あんよは上手

垂渓庵です。

小柄でぶいぶいと歩く女の人にあまり美しい人はいない、というのはよく知られた事実だと思うけれど、そんな女の人は、エスカレーターでも、変に上体をぶらすことなく、ダン、ダン、ダン、ダン、と足音高く上っていく、ということはそれほど知られていない。とても美しくない歩き方だと思う。

さて、そんな中でも、これはいかがなものかという歩き方をする人をこの前見かけた。ダン、ダン、ダン、ダン、と上がるのだが、どういうわけか、右足だけ後ろに蹴り上げるのだ。靴底がちびているのか、足か腰に故障があるのか分からない。いや、通路を歩いている姿は、ただぶいぶいしているだけで、びっこをひいたりはしていなかった。どうやら故障があるわけではなさそうだ。

靴底がどうだったかまでは分からないけれど、それだけであそこまで妙な歩き方になるとも思えない。上体をぶらさずダン、ぶい、ダン、蹴り上げ、ダン、ぶい、ダン、蹴り上げ、ダン、ぶい……。件の女性の足もとを注視していたのがわたしだけではない、というところからも、その奇妙さが分かろうというものだ。

あれは何なんだろう。何かに対する怒りがあんな形で噴出しているのか。あるいは、わたしはできる女なのよという自負心が「蹴り上げ」を生み出すのだろうか。何なのかよく分からないけれど、得体の知れない情念を内に抱えているのだろう。身近にこんな人がいなくてよかった、と思った次第なのである。

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