垂渓庵です。
大阪府では、生徒や保護者にアンケートをとって、授業評価を行うようにするようだ。授業評価は人事評価の一部となるので、アンケートの結果が給料その他に反映されることになるということだ。これはどのように考えたらよいだろうか。
わたしの結論は、難しい、だ。
趣旨は理解できる。授業を受けている生徒本人や、その生徒から話を聞いて間接的に授業を知っている保護者にアンケートをとるのは、至極当たり前のことのように思える。顧客満足度を測るというわけだ。
しかし、多くのサービス業が、顧客の意を迎え、サービスの提供によって顧客に満足を与えることが重要であるのに対し、教育は、必ずしも短期的な満足を与えない場合があることを忘れてはいけない。
教師の側の勉強不足や準備不足に起因する評価の低さは、弁解の余地なく教師の側の責任だ。そんなものは評価が低くなって当然であると言える。しかし、評価が低くなる要因は他にもある。たとえば、当該科目が生徒の受験に直接関わるかどうか、テストや課題、宿題の量やレベルはどうか、そもそも生徒の側に学習意欲があるか、などなどである。
いずれも、短期的に生徒におもねることは可能だ。受験に必要ない生徒に自習を認めるなどの配慮をし、テストや課題、宿題の量やレベルに手心を加え、学習意欲のない生徒が寝ていても注意せず、世間話をするような関係だけを保っておく、ということをすれば、おそらく実際の授業そのものの質と較べて、授業評価はよくなるはずだ。
要は、長期的に見て本来必要なサービスの提供とは関係ないところが評価の対象になってしまうのである。学校教育の本来の目的からすればそれではだめなのだけれど。そこんところがどうクリアできるのか、わたしが難しいというのはそこだ。
教育の建前としては、そんなことを気にしていてはいけない、となろうが、現実に給料が変わってくるのである。あなたが教師ならどうするだろう。教師がそんなことではいけないとお思いだろうか。それは、教師が聖職である場合に妥当する言葉だ。今現在、世の中的には教師は聖職者として扱われていない。聖職者とは思えないようなことをしでかす者も多いけれど、それはそれとして、都合のいい場面でのみ聖性を求めても、それは無理というものだろう。
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