2015年9月9日水曜日

旧暦7/27 蕭 登福さんのこと

垂渓庵です。

蕭 登福さんという学者がいる。台湾の人だ。天国や地獄の観念を中心として、仏教と道教の交渉史を研究している人だ。と知った風なことを書いているが、実はそんなに詳しくはない。ご本人にお目にかかったこともない。

が、学生の頃からお名前は存じ上げていて、勝手にリスペクトしている。どうしてそんなことになったのか。

ことは昨日の記事にとりあげた和歌色葉を読んでいた頃まで遡る。


和歌色葉には先行歌学書に基づかない独自部分がいくつかある。その中の一つに泰山府君の話がある。というのは実は記憶に基づいた話で、本当に和歌色葉だったのか、実は確信が持てなくもなくなくなくない。が、とりあえず和歌色葉だったということで花を進める。

で、その内容がどうもよく分からなかった。分からなかったのだけれど、発表の担当が回ってくる。なんとかしなきゃいけない。ここからがさらに記憶の曖昧になるところなのだけれど、結局国史大系か何かで泰山府君祭の祭文を見つけ、それを中心によく分からないままに発表をし、クロダさんに何らかの示唆を受けたように思う。

で、その示唆+順当な見込みから、わたしは漢籍関係の海に乗り出すことになった。というより溺れました。泰山府君だから道教関係だろうと当たりをつけたが、そこから先に進まない。道蔵の存在を知って繙きかけたもののどうにもこうにも勝手が分からない。

その頃たまたま東京の日本の古書や中国書籍を扱っている琳琅閣書店から目録を送っていただいていた。どうしてそんなことになったのだろう。よく覚えていない。サイトウ先生の授業を受けるために出入りしていた中文の人にでも聞いたのだろうか。

それはともかく、その琳琅閣書店の目録に蕭 登福さんの本が上がっていたのである。書名は「漢魏六朝佛道兩教之天堂地獄說」。大方の人にはなんのこっちゃというところだろうが、当時のわたしにしてみれば、求めるものどんぴしゃりの書名だったのだ。

で、早速に購入。幸い台湾版なので繁体字だ。斜め読みではあったけれど、全体を眺め回し、とても参考になった。 で、再び勇んで漢籍の海に乗り出し、多少は魚を釣ることができた。その縁で雲笈七籤を買い込んでみたり、道教関係の文献を買いあさってみたり。どこへ行こうとしていたのだろう、おれ。

その後も蕭 登福さんの本を目録で見かけるたびに注文していた。今は7冊ほど家に残っている。けっこうまじめに勉強していた頃の記念品みたいなものか。

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