2012年5月10日木曜日

旧暦閏3/20 震災を巡る 品切れの秘密

垂渓庵です。

放射能汚染の実態がよくわからない。人によって言うことが全く違っているし、実際のところ食物にどれほどの放射性物質が付着しているのやらいないのやら、政府や自治体は詳細に発表しようとしない。放射能を心配する声が上がると、風評被害などということばで応じる方々もいる。

風評被害というのは、根も葉もない評判を立てられて、その結果被害を被ることを言う。放射性物質がくっついているかいないかはリアルな問題だ。もしもくっついているのだったら風評被害もくそもない。

低線量被爆が実際に健康にどれほどの害を与えるかはよく分からないところもあるようだ。あるようだが、分からないということは、イコール無害なのではない。今後データが蓄積されて疫学的にこれだけの害を与えることが分かりました、となった時には手遅れだ。特に子を持つ親にしてみれば、切実な問題だと言える。


福島第一原発の事故を巡る専門家の方々の言動を見る限り、その方たちが太鼓判を押したとしても、わたしはそれを素直に信用する気にはなれない。政府の基準値についても同様だ。

とあるサイトによれば、がれきを焼却処理した灰からは実に基準値の120倍の放射線量が検出されたそうだ。それでもがれきを他地域に搬出して処理を実施しようとする自治体=行政の言うことも信用できない。また、そのことを報じようとしないマスコミについても同様だ。

福島第一原発がらみの裁判が何らかの形で起こった場合、おそらく司法も頼りにならないんじゃないか、というのがわたしの見通しだ。これまで行政追従の判決を何度も出した前科のある司法のことだ。この期に及んで頼りになると考える方が間違いだ、と言われて明確に否定しうる法律家がどれほどいるだろう。

本来なら価値中立的であるべき科学者、公正で透明性の高い政治を行うべき政治家、公僕たる公務員、正義の旗印を振り回すマスコミ、そしておそらくは法の番人であるはずの司法、そのいずれも頼りにならないというわけだ。となると、一般市民がとりうる道は一つ。自衛のためにやばそうな食物は極力摂らないことに尽きる。

今回、安全な食品を探していて気づいたのだが、福島の事故による放射線被害がとりあえずは及んでいないと考えられる地域で作られた食品の中に、ネット上で品切れになっているものが結構ある。中にはサイトの運用そのものを中止している食品メーカーもあった。不思議に思ったので、とある一社に直接電話をかけて聞いてみたところ、ネット注文が殺到して捌ききれなくなったのだそうだ。注文数の急増の理由についてはことばを濁しておられたが、容易に想像できる。他の場合も推して知るべしだろう。

さて、御用学者さんや政治家各位、公僕の皆さん、マスコミの方々はこの事態に対していったいどんなコメントをするのだろう。過剰反応?  風評に踊らされている? 無責任な言動の結果?

どんなコメントをしてもらってもかまわないけれど、臭いものには蓋式の対応をしている限りは、そのコメントこそ無責任な言動の最たるものだとわたしは思う。福島を始め、放射能汚染に苦しめられている地域の方々を、実は本当の意味で踏みつけにしているのは、こういう人たちなのだと思うがどうか。

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