垂渓庵です。
こりゃあ案外楽しいぞ。次は何をやるのだろう。そう思っていると、先生の無情な一言が耳に突き刺さる。「子供たちは別室に行きます。お母さん方は、別メニューでお楽しみください。」
「わたしはお母さんではありません」、「そんなのはやめましょう」などという声の上がるはずもなく、また言えるはずもなく、困惑のうちに取り残されることになった。
いったいこの後どうなるんだろう。そう思っていると、お母さん用のプログラムが発表された。わたしはお父さんだけれど当然黙しておく。
お母さん用のプログラムというのは、何のことはない、軽食などを囲んで歓談だ。さっきのようなゲームをお母さんやることになっても、それはそれで困るのだけれど、歓談ってのもあまりよろしくない。三々五々と集まって適当に過ごすというのが、気配も消せて一番ありがたいのに。
というわけで、歓談をすることになる。すでに旧知の間柄らしいお母さん方は話に花を咲かせている。わたしは枯れ木に花を咲かせたい気分だ。やむをえず不自然にならない程度に話に加わるような加わらないような微妙な距離を保つ。
グループの間を遊弋する気にもなれず、とりあえず軽食を相手に話を聞くともなく聞いていると、何となくお母さん達の人間関係が見えてくる。これが親玉気取りのお山の大将。これは親玉の子分。これは親玉の子分に見せかけているけれど本質的に非同調者。これは親玉が一目置いている一匹狼。これは親玉の対抗馬。これらは親玉の対抗馬に連なる方々。これは抗争に無縁な羊たち。などなど。
と分析するのは面白くもあるが、一方に偏することなく話をするのは疲れる。これが父親グループなら、気楽に非同盟諸国を貫けるのだけれど、お母さん達相手だとそうもいかない。今後の妻のつきあいもあるし。
というわけで、気しんどい時間が続き、いい加減疲れたというか面倒になってきた頃、子供達が戻ってきた。再び合流して少しだけ遊んでから解散と相成った。ランチがどうこうという言葉を聞き流しながら園を後にした。疲れたことである。
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