2012年4月6日金曜日

旧暦3/16 再掲 元気の素

垂渓庵です。

これは2008年8月に公開した。マヘリア・ジャクソンは今も好きだ。写真や映像を見る限り、ごっつくて顔も豪快だけれど、何ともいえずかわいらしい表情を見せることがある。そんな時は可憐と言っていい心持ちがする。とりあえず1枚聴いてみたいという人にはLive at Newport 1958あたりがおすすめだろう。もっと聴きたいという人は、Gospels Spirituals & Hymns1・2(それぞれ2枚組)を聴いてみてください。

以下本文

垂渓庵です。

落ち込み気味なときにこれがあると元気になるというものが、みなさんおありなのではないでしょうか。たとえば本であるとか、歌であるとか。

あるいは、この人に会うと元気づけられるということもあるでしょうし、ある場所に行くと勇気がわいてくるということもあるでしょう。

一つだけと限ったわけでもないと思います。わたしの場合もいろいろ当てはまるものがあります。たとえば「木に学べ」の西岡常一さんの聞き語りCDや「リト ル・トリー」。隆慶一郎さんの時代小説も元気を与えてくれます。元気の出てくる飲み友達もいます。また、山を歩いていると、下界のことなどどうでもよく なってきます。


そんな中で、歌声で元気づけてくれるのが、ゴスペルシンガーのマヘリア・ジャクソンです。彼女は1950年代から70年代にかけて世界的に有名になりました。

彼女を知ったのは、仕事をし出してしばらく経ってからのこと。大学卒業後も音楽活動をしていた友人から借りた「真夏の夜のジャズ」というビデオで、初めて彼女の歌声を聞きました。

そのビデオをみていただくのが一番いいと思うのですが、何というか、彼女の善良な人間性が彼女の体全体からにじみ出ています。そして、うちしおれた人を元気づける力強さが声にはあふれていました。

わたしはクリスチャンというわけではありませんが、彼女が、神を賛美し神とともにある幸福を歌い上げるとき、素直に敬虔な気持ちになります。

虐げられた者を神は見捨てはしない、神は常にあなたとともにいて下さる。

彼女のその祈りのようなことばを聞くとき、わたしも彼女と同じ祈りを祈っているような気がします。

彼女の歌うのは黒人たちの教会音楽です。アメリカに連れて行かれた黒人たちは、人種差別に苦しみながらも神への信仰を捨てません。そして時には髪を振り乱して神を讃仰します。

マヘリア・ジャクソンの歌声にもそのような率直な強さがあります。おそらくはその根っこには神への揺るぎない信仰があるのでしょう。ゴスペルを歌うとき、彼女は、その神の愛への確信を声によって人々に伝え、勇気づけようとしたのだと思います。

人柄とリンクさせて声に感動する、というのが音楽の聞き方としていいのか悪いのか、わたしにはわかりませんが、そういう聞き方にぴったりくる歌い手を挙げるとしたら、彼女は必ずその上位に入るだろうと思うのです。

彼女の歌を聞くなら夏です。それもよく晴れて暑い夏の日の昼下がりから夕方にかけて。そんな時に彼女のCDをかけて聞くと、不思議なことに彼女の歌声の力が増す気がします。と書いているうちに、また聞きたくなってきました。さて、今日はどのCDをかけるかな。

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