垂渓庵です。
さて、ブログの場所を移しての一発目の記事だ。更新回数の縛りがなくなった分、更新が不定期にならないように気をつけようと思う。
今回は某所に発表した新作の川柳を紹介しよう。川柳作りを始めてすでに一年半になろうとしている。あるいは、まだ一年半か。どちらにしてもまだまだ修行中だ。精進精進。
今回某欄にとっていただいたのは、次の四句。
すべり台プッチンプリン滑らせる
バターのせこんがり焼いた恋心
逃げた鼻床屋でひげを剃るころか
水枕ふわりふわりと雲の上
見たままの句なので、解説の必要はないだろう。ちょっと今月は「何だこれは!」感が少なかったかもしれない。やはり精進精進。
たまには没になった句も紹介してみようか。
軒先のぽたりぽたりがあくびする
雨上がり猫も押してる乳母車
グレゴール・ザムザ水も凍る寒さ
あひるの子つるりと飲んだ赤い口
こちらの方がなんだこれは感が強いが、わかりにくい。上記四句が選ばれたのももっともだと思われる。もっとすっと入ってきて、なおかつ何だこれは、というような句を作りたいものだ。精進精進。
そういえば、先週の再掲記事「ブーム到来」にも記した、匿名を希望する同僚の句も誌面を飾っている。当然ペンネームである。わたしにもどんな名前にするか教えてはくれなかった。本来なら同僚の句がどれなのかはわからないままに終わるところだった。
が、ある日その同僚から今回投句した句を二句ばかり雑誌が届く前に知らされた。「やまいだれ」ということばの使い方に自信があったのだけれど、それと同じような使い方をしている句を新聞だか雑誌だかの投句欄でたまたま見つけたのだという。盗作されたと疑ったらしい。
そもそも同僚の句はまだ活字になっておらず、なおかつ盗作を疑われた方と同僚あるいは同僚の作った句との接点はない。「やまいだれ」ということばの使い方も、同僚が自負するほど独創的でもなかった。そういう諸々を勘案すると、いわゆる類想句の範囲に収まると思われたので、そうご返事した。同僚はもともと文筆家を志していたそうだから、それだけ自作に自負の念が強いのだろう。あるいは、過去に得策された経験でもあるのかもしれない。
雑誌が届いてから、教えられた句を元に誌面を確認したところ、ペンネームと残りの句も判明した。普段の職場での立ち居振る舞いの割には、おれがおれが感の強い句だったのは、なにか面白い気がした。さすが作家志望だっただけのことはある、と妙に納得してしまった。差し障りがあるといけないので句そのものは紹介しないけれど。
さて、新年度が始まって一週間。今年は担任する学年がいよいよ最高学年となる。受験の年だ。生徒や保護者が満足のいく進路に進んでいけるようにせねばならない。句作や耽読翫市もマイペースで続けていくことにしよう。
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