2012年4月2日月曜日

旧暦3/12 再掲 灯りまたたく黒門町に

垂渓庵です。

これは2008年7月に公開した。ニイミという友人はこういう古いものに強い。ごくたまに顔を合わせた時は、この手の古い話題で盛り上がることになる。何年か前にコンビニでウルトラマンのフィギュアが売られていると教えてくれたのも彼だ。それからせっせと買い求め、ダブっているものを交換したりしたのだったか。得難い友人の一人である。

以下本文

垂渓庵です。

わたしは昭和四十年代に少年時代を送りました。外で遊び回ることが多かったですが、テレビも嫌いではありませんでした。印象に残っている番組やテレビCMもいくつかあります。たとえば次のようなの。みなさんはご存じでしょうか。



○魔女がパラソル乗ってきた 二人でパラソル食べちゃった
魔女はおうちへ帰れない  パッパッパラソルチョコレート

○白 黒 抹茶 あずき コーヒー 柚子 桜
七つの味を残らずホイ ホホホイノホイホイ
青柳ういろう 食べちゃった

○最初のパンダは白かった
で どろんこ遊びをやりすぎて
それで黒いとこできたのさ
笹の葉山のパンダ君
毎日ヤクルト 飲んでるかい

最初のパンダは黒かった
で あんまり雪をなめすぎて
それで白いとこできたのさ
(以下略)

○南海電車は高石駅を
東へ六分 ぶーらぶら
モデルハウスがいっぱい並んだ
高石プラザ

奈良奈良奈良奈良奈~良
奈良奈良奈良奈良新大宮
北へ歩いて約一分
モデルハウスは奈良プラザ

懐かしいですねえ。昭和ですねえ。楽しいですねえ。思わず淀川長治みたいな口調になっちゃいますねえ。こんなことでは社会復帰できなくなるねえ。いけないねえ。話を元に戻しましょう。

残念ながら古い記憶は時が経つにつれて曖昧になっていくものです。こんな具合に記憶に残っているものは、当時目にしたCMのうちでごくわずかです。

古い記憶は曖昧になるだけではありません。えてして記憶違いということが起こります。テレビ番組とは違いますが、たとえばわたしの生家。記憶する限りでは改築前の生家に裏庭はありません。が、裏庭がなかったなら増築できるはずのない部屋が現に存在します。どうも記憶が再構成されているようです。

身近なことなら人に聞いたり実物に就くことで記憶を訂することができます。が、とてもオタッキッシュなことだったとしたら…。昔なら手詰まりです。でも今なら大丈夫。インターネットという便利なものがあります。検索をかければたいていのことについては何らかの情報を得ることができます。

言ってみれば、ネットがブレインのようなものになってくれるのですね。正確に言うと、好事家的な方たちのディープなページ/記事がブレインの役割を果たしてくれるわけです。

イメージとしては、無数の好事家がネット内に遊弋していて、検索による召命が下ると、その召命にふさわしい人たちが瞬時に束になって解決の方向で力を貸してくれるって感じでしょうか。それら好事家さんたちは自分の興味を追求しているだけで、人に力を貸しているという意識などないでしょうが。

どうも話が変な方向に流れてしまいました。よけいな話は置いておきましょう。要するに、上の歌詞群について検索をかけてみたのです。すると、当然のことと言うべきか、すごいことにと言うべきか、全部なんらかの形でネット上で言及されていました。すげえ。

で、発見一つ。最後のモデルハウスのCMの歌詞、わたしは「奈良奈良奈良奈良奈~良」だと思ってたんですが、どうやら「奈良奈良奈良奈良近鉄」が正解だそうです。意外です。いや、ほんと。

さて、ここからが本題。わたしは時代劇もけっこう見ていました。好きだったのは、中村梅之助の「遠山の金さん」、橋幸夫の「遠山の金さん」、「大江戸捜査網」、「ぶらり信兵衛道場破り」…。う~ん、懐かしい。

それとお気に入りの作品がもう一つ。「伝七捕物帳」です。毎回「よーおっ、よよよい、よよよい、よよよいよい」「めでてえな」「へい」で終わるあれです。 それこそオープニングやエンディングの歌詞を暗記するぐらい見ていました今でも歌えます。中でも好きだったのはエンディング。

♪灯りまたたく黒門町に 御用御用の声がする

そう、伝七は黒門町に住んでいました。「黒門町の伝七」と呼ばれています。銭形平次は「神田明神下の平治」。平治のかませ犬的ライバルは「箕輪の万七」。 伝七のライバルは、はっきり覚えていません。赤鼻のなんとかでした。ああ、何という名前だったんだろう。トナカイ? ……。それにしても、伝七のライバルだけどうして「居住地+名前」ではなく、「身体的特徴+名前」なんだろう。それも「赤鼻」。なぜに。

いや、そんな話はどうでもいいのです。…いえ、どうでもよくありません。よくないのですが、とりあえず置いておきましょう。今回の本題はエンディングの歌 詞です。その一節でどうもよくわからないところがありました。「御用御用の声がする」の次の部分がわたしにはこう聞こえていました。

♪伊達にゃささない かく「の/ろ」お~び~の~

「かくろおびの」っなんでしょうか。「カクラバ・ロビ」 なら知っていますが、確実に無関係です。「かくのおびの」なら「角の帯の」かもしれませんが、どうもあまり一般的な言い方ではありません。テレビの時代劇の主題歌に、そんな特殊な言葉遣いは使わないような気がします。何て言っているのだろうと思いながら、風呂に入っているときなどにこの歌を口ずさみ続けて三十年。

しかし、どうしても曖昧な部分は自信を持ってはっきり口に出せません。伝七親分にすまないと思いながらも、この部分だけ「だ~て~にゃささな~い ふふふ~んふ~ん」なんて歌ってしまうわたしがいます。ああ、しっかりはっきり歌いたい。

というわけで、ネットで検索をかけてみると……。やはりいました。伝七好き、時代劇好きの好事家の方々が。その方たちのページによると、この部分は

♪伊達にゃささない 角帯の

となっています。長音符付きで書くなら、

♪伊達にゃささない かくぅお~び~の~

てな感じですかね。なるほど。「角帯」を延ばして歌っているので「かくろ」とか「かくの」と聞きなしてしまったのか。いやあ、よかったよかった。三十年来の疑問がこれで解決です。最後まで自信を持って風呂で歌えます。

♪房は紫 この十手 遠く下谷の 遠く下谷の え~ 鐘が鳴る

検索してわかったのですが、エンディングを視聴できるのですね。便利な時代になったものです。では、御覧下さい。 意外とはっきり「かくおびの」と聞こえますね。これを「かくのおびの」と聞いてしまったとは。わたしの耳がよくなかったのかテレビの音声がよくなかったのか。あるいは「角帯」ということばを知らなかったわたしが変に聞きなしていたのか。う~ん。ここにも記憶の秘密がありそうだな、こりゃ。

何にせよ、せっかくですからオープニングもどうぞ。

ああ、懐かしい。よし、次は「ぶらり信兵衛道場破り」の歌詞でも調べてみるかな。

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