2012年3月22日木曜日

旧暦3/1 再掲 セイフティボックスと国語力

垂渓庵です。

これも旅行ネタ。こちらは妻とロンドン→パリと駆け足旅行した時のことを書いたもの。2007年11月に公開した。この時は行きに私の体調がすぐれず、旅行途中で妻の体調が崩れる、というけっこう厳しい旅行となった。が、美術館などを回れて、それなりに充実したものでもあった。所長は、国語力研究所元所長のこと。

以下本文

垂渓庵です。

所長。また表題パクってしまいましたすいません

以前妻とロンドンに行ったときのことです。現地のツアコンの方に空港からホテルまで案内されて、日程などの説明を受けました。その際に、各部屋に金庫はあるけれども、安全のためには、フロントでセイフティボックスを借りて預ける方が確実ですよと言われました。



なるほどそんなもんですかと思い、荷物を部屋に置いてから、さっそくセイフティボックスを借り受けることにしました。そして気軽にセイフティボックスプリーズと言ってから、以下のやりとりを全て英語でやらねばならないことに気づきました。


使用法や手続きなどの説明は当然英語です。何を隠そう、いや隠すまでもなくわたしは国語の教師です。相手が古文で話しかけてきたとしたら、なんとか対処できると思います。しかし英語は…。

セイフティボックスの使用に際して申込書に記入し、フロントの人とボックスに行き、ボックスの番号を確認し、中にパスポートなどを入れて、開けたいときはやはりフロントに言い、書類を記入して手続きをしてからフロントの人と一緒に開けに行かねばならない。

動作としては簡単なことの連続ですが、それを英語で理解するとなると簡単ではありません。妻は少し離れたところに立っています。全く近寄ってくる気配がありません。孤立無援の状況の中、わたしとフロントのお兄さんとの奮闘が始まりました。

「ペララペラララペララ。ペラララララペラ。」
「ん? ぺら…」
「ペラペラペララペラ。」
「…」(^^)
「ペラ。ペラ。ペラ。」
「おお。ぺら…。ぺら。」
「ペラ…。ぺら。ぺらぺら。」
「いえす。ぺらぺら。」
「OK。ぺらぺらぺら。」
「ぺらぺらぺら?」
「YES。ペラペラペラ。」
「は?」(・・)
「Ah。ぺらぺら。ぺら。」
「おお、あいあんだすたんど。ぺらぺらぺら。オーケー?」
「オーケー。ぺらぺら。ぺらぺら。ぺら。」
……。

ようやく預け終わったときには予想外に時間が経っていました。ホテルに着いてすぐならツアコンの方にお願いすることもできたのですが、部屋で少し休憩したのがあだとなってしまいました。

何にしても、あのお兄さんとわたしの間には、困難をともに乗り切った者たちの間に結ばれる強い絆が生まれたとわたしは信じています。信じているのはわたしだけですけど。

そんなこんなでロンドンでの観光が始まりました。ナショナルギャラリーをはじめ、観光自体はとても面白かったです。できれば観劇などもしてみたかったのですが、時間がなかったので、次の機会に譲ることにしました。

その間のことはまた機会があれば書くことにして、とにもかくにもロンドンでの最終日。わたしははたと困りました。セキュリティボックスはもう使わないってどう言やいいん? とりあえずセイフティボックスの使用を終了したいという日本語にあたる(と思える)英語をフロントで口にしてみました。ボックスを借りるときにいたのと同じお兄さんです。

わたしもどきどきしていましたが、むこうもきっとどきどきしていたことでしょう。いったい今度はこいつは何を言うのか、と。しかし、幸いなことにわたしの口にした英語は何とか通じたようです。

いや、というよりは、お兄さんが前回と同様、わたしたちの国語力に当たる英語力をフルに発揮して、わたしの並べ立てるカタカナ表記の単語から用件を推測してくれたと言った方が正しいでしょう。わたしがこれまでに受けた英語教育の賜物であると言い切れないのがせつないところです。

わたしはこれでも大学の教養の英語の先生に英文学科へ進むんだろうと言われたこともある逸材だったはずなんですが。ことばは使わないと錆び付いて鈍ってしまうのだなあと実感しました。ま、わたしの英語力はもともとなまくら刀でしたけどね落ち込み

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