2012年3月22日木曜日

旧暦3/1 再掲 パリと通天閣と国語力

垂渓庵です。

前の記事のパリ編にあたる。2007年12月に公開したもの。パリでは妻は残念ながら体調不良でほとんど見物をできなかった。初日にツアーのオプションでざっとあちこち見たぐらいだったと思う。「所長」は、国語力検定を主催するZ会国語力研究所前所長。何かとお世話になっている。

以下本文


垂渓庵です。

所長、また表題をお借りしました。

ロンドンのホテルのフロントのお兄さんと固い絆を結んだ後、わたしと妻はユーロスターでパリに向かいました。フランスは農業国だということが実感できる車窓風景を満喫した後、パリに到着しました。

二人とも体調を崩し、思うように観光ができなかったのですが、町中を歩き、パサージュに迷い込み、移民の子たちっぽい小さな子に取り巻かれ、メトロの駅を出ようとして壊れた改札を前に立ち往生していると、黒人のおっちゃんが一緒に強引に出てくれたりして、
少しは雰囲気を味わうことができました。

結論から言うと、パリはよい町です。そのパリでこんな経験をしました。



わたしたちはホテルにチェックインした後、
メトロでパリの中心部に向かい、町中をうろうろして、
タクシーでホテルに戻ることにしました。

そのタクシーのおっちゃんは、こちらがボンジュールとか何とか言うと、
何やらにこにこしながらまくしたててきました。
どうやら、お前はフランス語をしゃべるのかと言っているようです。
ウイウイ、バットベリーリトルね、ボンジュール、サバ、シルブプレ、メルシぐらいよ。
そう言うと、いや立派なものだ、ちゃんとしゃべれるじゃないかと言っている様子です。

後はお互い片言の英語で会話を続けましたが、
おっちゃんは何やら機嫌よさげで、道々いろいろ教えてくれました。
ここは映画俳優の誰やらが来る店だとか、ここの何やらは美味しいぞとか。
エッフェル塔が近くに見えてきたので、妻とエッフェル塔やと言っていると、
すかさずエッフェル塔について説明してくれます。

大きいだろ。年間うん万人の人が訪れるんだ。
ライトアップされた姿はほんとうにきれいぞ。うんぬんかんぬん。

何やら自慢げです。
そうなるとこちらも関西人の血が騒ぎます。
お国自慢でひけをとってはなりません。

昔フランスにやってきた日本人がエッフェル塔に感動して、
日本でもエッフェル塔みたいな塔を建てたいと思ったんだ。
それで作ったのが大阪の通天閣だ。
非常な困難の末に建てられたとても有名ですばらしい塔だ。
少しでもエッフェル塔に近づけたいと思った日本人の努力によって生まれた。
我々大阪の人間の誇りだ。うんぬんかんぬん。

いい加減なことをいい加減な英語で伝えました。

向こうは、そうか、日本人がエッフェル塔に感動して塔を作ったのか。
すばらしいじゃないか。えっと、何という塔だって?と興味津々です。
「ツウテンカク」だと、しばらく発音指導しました。
通天閣は天に続くタワーという意味だ。
日本で一番有名で美しい塔なんだ。
忘れないでくれ。「ツウテンカク」だ。うんぬんかんぬん…。

妻は呆れた目で見ていました。
パリでツウテンカクのことを話す運転手さんがいれば、
その人はわたしを乗せてくれた人だと思います。

最後はにこやかにお互い手を振り合いながら別れました。
この運転手さんともわたしは固い絆を結んだと信じています。

この運転手のおじさんに限らず、
こちらが片言でもフランス語で意志を伝えようとすると、
向こうも片言の英語を繰り出してきて、
何とか意志を通じようとしてくれる人が多かったように思います。
フランスへ行くのだからフランス語を少しはおぼえておこう、
そういう判断をするのも国語力なのだろうと思ってみたりするわけです。
こんなまとめでいいですか、所長。

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